遊戯足跡

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宇宙開拓日誌1日目【ノーマンズスカイ】

注意:この妄想小説はPS4ソフト、ノーマンズスカイをプレイした記録を脚色強め、寒いノリありで書いたものです。原作のイメージを壊したくない人やそういった物に耐性のない人は閲覧しないことを推奨します。

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目覚め

 

 なにか聞こえてくる…

 

 声…

 

 機械で合成されたかのような電子音声だ…

 

 目を開くと視界に広がる青い空、だだっ広い草原、何もない空間、いや、何もないのは自分自身の記憶だ。完全にスッカラカン、本当に何もない、ここは一体どこだろう?今の声は一体?体を起こして周囲を見渡してみると一台の火花と黒煙を散らす壊れた宇宙船が目に入る。

ー墜落ー

 ふと頭を過る単語。辺りに散らばった資材からもこの推論は間違っていないと見るべきだろう。

 困惑しながらも状況の整理をしていると突然赤く光り輝く球体が宙を浮きながらこちらに近づいてくる。

 赤く輝く球体は明滅を繰り返しながら私の脳内に直接伝えてくる。

 

『アトラス』

 

 何が何やら整理が追いつかない私にアトラスと名乗る(?)球体は意味の伝達を続ける。

 

『ミチヲタドレ』

 

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 困惑しつつも記憶もアテもない私はアトラスの言葉にほとんど反射的に頷いた。私の返答に満足したのかアトラスは呆然と立ち尽くす私を残して宇宙(そら)へと飛び立っていく。

 取り残された私は戸惑いつつも宇宙船の修理に取り掛かることにした。修理の方法は不思議と体が知っていた。どの部品が足りないか?どうすれば資材を集められるか?ほとんど手探りのおっかなびっくりではあったが、二時間程で壊れた宇宙船は本来あるべき形へと修復された。我ながら驚きである。

 宇宙船の操作方法も体が知っていた。自分の知らないことをさも当然のようにやってのける自分自身の体が少々気持ち悪くはあるものの、ありがたいことに違いはない。何も思い出せずに壊れた宇宙船の横で震えている自分を想像すると身震いする。

 どこに向かえば良いのかは宇宙船のデータに入っていた。おそらくあのアトラスとかいう奴が残していったのだろう。しかし、私はその座標データを3回確認しなおして再び困惑することとなる。

目的地:アトラスインターフェイス 距離:247光年

 光年って…たしか光が一年かけて進む距離じゃなかったか? こんな距離どうあがいたって無理に決まっているじゃないか…

 どうすれば良いのか皆目見当もつかないが、立ち止まっているわけにもいかないので中継地点である近くの宇宙ステーションを目指す。もしかしたら誰か人がいて何かアイデアをくれるかもしれない。…少し楽観的すぎるだろうか?

 

 

出会い

 

 慣れない宇宙船の操縦に苦戦しながらも、なんとか宇宙空間に浮かぶ ピラミッドのような形をしたステーションへとたどり着くことに成功した私。もしこの宇宙船にしっかりとしたシールドが搭載されていなければ先ほどの岩塊との衝突で私は宇宙の藻屑になっていたことだろう。また、偶然とはいえ宇宙船に燃料として必要なタミウム9がぶつかった岩塊から採取出来たことは怪我の功名であるといえる。

 宇宙船が墜落していた星で探すのに一番苦労した物質がこの宇宙空間に無数に存在する墜落の原因となったかもしれない岩塊から簡単に採取できるとはなんとも皮肉な話である。

 ステーションに近づくと宇宙船はオートパーロットモードへと切り替わり自動操縦で駐車場のようなスペースへと進んでいく。無人の駐車場に降り立った私は都会に出てきたお上りさんよろしく、右も左も分からずキョロキョロとしながら近くの階段を登る。

(この階段って登って良い階段なのかな?急に警備員さんとか出てきて怒られないかな?そもそもなんで無人なんだろう?入り口間違えたのかな?)

 無数の疑問が脳内をよぎる。非常に不安だ。

 階段を登り切り道なりに進んでいくと宇宙服を着た人物が椅子に座っていた。目を覚ましてから初めて出会う人類に自然と顔がほころぶ。

 宇宙服の人物は私に気がつくと頭部のライトを明滅させながら早口に何事か話しかけてきた。

「iebnvin alvwnv wa jbeav bpebvogbnpptp ouobj」

 全く理解できなかったが。

「え?今なんて言ったんですか?」

「vwege wpbwie boe wnbvier aivbwbcwytcv ywc bibvb」

 どうやら使っている言語が違うらしく言葉が通じないらしい。というかこの人は人間なのだろうか?ピーとかガガガとか明らかに人間には出せなさそうな音も混じっているが…

 言葉による会話は無理そうなので諦めてボディーランゲージでの意思疎通を試みる。

フンッ!ハッ!トウッ!!

 精一杯自分が困っていることを身振り手振りで伝える……伝わっただろうか?チラッと人物の方に目をやると彼は手に持った電子端末を熱心に操作しており私の渾身のボディーランゲージを見ていなかったようだ。衝撃の事実である。

 …電子端末?突如脳内に閃きが走る。言葉やボディーランゲージは通じなくても電子端末の情報なら通じるのではないだろうか?私は急いで宇宙船に走り目的地の座標データの入った電子端末を手にもう一度彼の元へと駆ける。

 電子端末を見せると彼は一度うなずき、ビィー!ギュインギュイン!と言いながら私の宇宙船を指差してきた。どうやら私の持っている資源と交換で何かしてくれるらしい。背に腹は代えられない。私は相手の言っている言葉もよく分からぬまま頷いてしまった。

 そう、頷いてしまったのである…

 

 そして現在、私の船は見事に解体されている。どうしてこんなことになってしまったのだろうか…

 これからどうすれば良いのかと本日何回目になるかわからない困惑をしているとカッコいい宇宙船が運ばれてきた。宇宙服の彼は運ばれてきた宇宙船を指差すとブィーガグィーン!と鳴く。どうやらこのカッコ良い宇宙船をくれるらしい。なんだかだんだん彼の言葉が理解できるようになってきた気がする。

  

どまにしS84

 

 それが私の新しい船の名前らしい。流石に少し酷いのではないだろうか?いや、もしかしたらこれは彼らの言葉でカッコいい意味があるのかもしれない。

「どまにし…」

 口に出してみると意外と語感も良い。うん、これはきっと素晴らしい船に違いない。どまにしにはワープ装置も付いているようで星系間の移動もできるようだ。この船があれば座標の目的地に向かうこともできる。

「ありがとう、宇宙服の人…これでなんとか座標の地点に迎えそうだよ。」

 言葉は伝わらないだろうがそれでもお礼を言うと宇宙服の彼は手を差し出してきた。握手だろうか?言葉は通じなくても友情というものは構築されるものなのだろう。これを感動せずに何を感動というべきか。

 

この後、料金の請求で身ぐるみ剥がされました。

 

 

一日目 ー完ー